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自治体DX関連の調達でいま注目される領域と参入のポイント

自治体がデジタル化を推進する動きが続く中、それに伴う公共調達の機会も拡大しているとされています。業務システムのクラウド移行、電子申請の整備、セキュリティ対策の強化、AI活用の実証など、これまで民間の専門企業が手がけてきた分野に、公共調達という形での発注が増えつつあるといわれています。

一方で、「自治体DXの調達に参入したいが、何から手をつけてよいかわからない」という声も聞かれます。このガイドでは、自治体DX関連の調達でいま注目される分野を整理するとともに、参入に向けて何を準備すればよいかを、実務的な観点からまとめます。

この記事でわかること:

  • 自治体DX調達が拡大している背景
  • 注目される5つの調達分野と特徴
  • 各分野で求められる要件・実績の傾向
  • 情報収集と参入準備の進め方

自治体DXとは何か、なぜ今調達が増えているのか#

自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、地方自治体が情報通信技術を活用して行政サービスや内部業務を変革する取り組みを指します。国の指針のもと、各都道府県・市区町村が具体的な計画を策定し、順次実施に移しているとされています。

こうした動きの背景には、住民サービスのデジタル化への需要の高まり、少子高齢化による自治体の人材不足への対応、行財政の効率化、サイバーセキュリティ強化への要請など、複数の課題が重なっていることが挙げられます。一つの自治体が単独で全ての課題に対応するリソースを持つことは難しく、外部の専門企業・事業者への発注が必然的に増える構造になっているとされています。

調達の観点から見ると、大規模なシステム刷新から小規模なツール導入・研修事業まで、幅広い規模・形態の発注が行われていることが特徴です。以前は大手SIerやコンサルティング会社が対応しがちな領域でしたが、クラウドサービスの普及や発注形態の多様化に伴い、中小・専門企業にとっての参入余地も広がりつつあるといわれています。


注目分野1:基幹系業務システムのクラウド化・標準化#

自治体の基幹業務(住民記録、税、福祉、保険など)を扱うシステムのクラウド化・標準仕様への移行は、各自治体が取り組んでいる大きなテーマの一つとされています。国の方針として主要な業務システムを標準化・共通化する方向性が打ち出されているとされており、対応するための整備が各自治体で進められているとされています。

この分野では、ベンダーの変更に伴う各種設定・移行作業や、職員向けの操作研修、データ移行支援などの案件が発生しやすいとされています。純粋なシステム開発ではなく、既存のクラウドサービスを前提とした「導入・移行支援」という形の発注が増えているともいわれています。

参入を考えるポイント#

システム標準化の対象となる業務分野は多岐にわたるため、自社が得意とする業種・分野を明確にしたうえで、対応実績を整理しておくことが有効です。大規模な全体システム構築よりも、移行支援・運用保守・職員研修といったサービス分野のほうが、中規模以下の企業にとって現実的な参入口になることが多いとされています。

クラウドサービスの標準製品を前提とした案件では、その製品の認定パートナーや導入実績が評価材料になることがあります。対象となりそうな製品・プラットフォームの公認資格や導入事例を整備しておくことが、競争力につながります。


注目分野2:電子申請・窓口デジタル化#

住民が行政手続きをオンラインで完結できるようにするための仕組みづくりも、多くの自治体が取り組んでいる分野です。申請フォームの構築・整備、マイナンバー連携への対応、窓口業務の支援システム導入などが調達事例として見られるとされています。

特にマイナンバーカードを活用したサービスの拡充については、国の施策との連携が必要な部分もあり、自治体単独では対応が難しい技術的要件が生じることも多いとされています。こうした案件では、特定の認定を持つ企業が有利になるケースもあるとされており、事前の準備が参入の大きなカギを握ることがあります。

求められる傾向と特徴#

電子申請関連の案件では、セキュリティ要件・アクセシビリティへの配慮・運用後のサポート体制といった点が仕様書で重視されることが多いとされています。具体的な先行導入事例の有無が評価に影響することもあるとされており、自社での実績の蓄積が重要です。

また、住民向けサービスである以上、UIの使いやすさや多言語対応など、従来の業務システムとは異なる観点の要件が含まれることもあります。応札前に仕様書を丁寧に読み、自社の対応範囲と合致しているかを確認することが欠かせません。


注目分野3:情報セキュリティ対策・インシデント対応#

自治体が保有する個人情報・機密情報の量は膨大であり、セキュリティインシデントへの対策強化は避けられない課題とされています。サイバー攻撃の手口が高度化する中、定期的なリスクアセスメント、脆弱性診断、職員向けの研修・訓練、インシデント発生時の対応計画策定支援などの調達が行われているとされています。

この分野は、実施が求められる基本的な対策と、改善目的のオプション的な施策の両面から調達が発生するとされており、年間を通じてある程度継続的な需要があるともいわれています。

中小・専門企業にとっての参入機会#

大規模なシステム開発を伴わないセキュリティ診断・教育・コンサルティング系の案件は、専門知識を持つ中小企業にとっても参入しやすい傾向があるとされています。ただし、実績・認定・資格に関する要件が厳しく設定されることも多く、業界団体の認定制度や公認資格の取得が有利に働くことがあります。

また、一度セキュリティ対策の支援で実績をつくると、翌年度以降も継続発注につながりやすいとされています。初回受注を足がかりに、中長期的な関係構築を視野に入れた提案ができることも、この分野の特徴です。


注目分野4:AI・データ活用の基盤整備#

行政データを分析し、施策立案に活かす取り組みや、AIを用いた業務効率化の実証が、一部の自治体で進んでいるとされています。チャットボットによる住民問い合わせ対応、AIを活用した申請内容のチェック支援、統計データの可視化・ダッシュボード構築などの事例が聞かれます。

この分野の調達は、「実証・パイロット」「小規模な実験的導入」という性格を持つことが多く、他の分野と比べて仕様が明確でない場合もあるとされています。提案型(企画競争・プロポーザル)での調達が行われることも多く、技術力と提案力を合わせて示す必要があります。

実績形成の難しさと対策#

まだ先行事例が少ない分野であるため、民間向けのプロジェクト実績や研究機関との共同実績が評価の材料になることがあります。類似する民間向けのプロジェクト事例を整理し、公共分野への転用可能性を明示できるようにしておくことが、提案書作成の観点から有効とされています。

自社の技術を「行政課題の解決にどう使えるか」という観点で言語化することが、評価者に伝わりやすい提案の土台になります。技術の高さだけでなく、自治体の業務フローへの理解と、住民へのメリットを具体的に示す力が問われる分野です。


注目分野5:デジタル人材育成・DX推進支援#

自治体の内部に「デジタルを推進できる人材」が不足しているという問題意識は広く共有されており、外部からの研修・人材支援・コンサルティングの需要があるとされています。職員向けのITリテラシー研修、DX推進担当者向けのスキルアップ支援、デジタル計画の策定支援コンサルティングなどが調達されているとされています。

教育・研修分野の調達は比較的小規模になりやすく、案件の予算規模も様々とされています。また、年度の計画策定に合わせた発注が多い傾向があるとされており、年度の早い時期に公告が出ることもあります。

この分野の特徴#

研修・教育系の案件は、一般競争入札だけでなく、企画競争や随意契約で発注されることも少なくないとされています。講師の経歴・実績や教材の質がポイントになることが多く、既存の研修プログラムの整備と実績の積み上げが参入の土台になります。

定型的な研修パッケージを提供するだけでなく、自治体の状況に合わせてカスタマイズできる柔軟性を示すことが、選ばれやすい提案につながるとされています。


自治体DX調達に参入するための準備ポイント#

自治体DX関連の調達への参入を検討する場合、一般的に次のような準備が重要とされています。

入札参加資格の確認と登録#

公共調達に参加するには、各発注機関への入札参加資格の登録が必要です。自治体DX関連の業務はITサービス・コンサルティング・教育など複数の業種区分にまたがることが多いため、対象とする案件の種類に合った業種区分を登録しておくことが重要です。

格付けの等級も、応札できる案件の規模に影響します。中規模以上の案件を狙う場合は、自社の資格・実績が等級要件を満たしているかを確認しておく必要があります。資格申請の時期は機関ごとに異なるため、申請スケジュールを早めに把握しておくことが大切です。

実績の整理と提案書テンプレートの準備#

自治体DX関連の案件では、類似業務の実績が評価されやすい傾向があります。民間向けのプロジェクトであっても、公共分野への適用可能性を説明できるように整理しておくと、総合評価落札方式での提案書作成に役立ちます。

また、提案書(技術提案書・企画提案書)のテンプレートや過去の作成事例を社内に蓄積しておくことで、公告が出てから素早く準備を進められるようになります。自治体のニーズに合わせてカスタマイズできるひな形を用意しておくことが、スピードと質を両立させるポイントです。

パートナー企業との連携検討#

大規模な案件や自社だけでは対応が難しい分野については、専門の企業とパートナーシップを組んで共同で提案する方法もあります。自社が得意とする分野に特化してサービスを提供しつつ、他の部分をパートナーに任せることで、単独では参入しにくい案件にアプローチできる場合があります。

パートナー選定においては、業務内容の相互補完だけでなく、情報セキュリティ管理の体制・社会的な信用力なども重要な判断軸となります。


公告を見つけるための情報収集のコツ#

自治体DX関連の案件は、発注機関の数だけ公告の掲載先が存在します。情報収集を効率化するために、以下のような工夫が有効とされています。

  • 対象自治体を絞り込む:全国を対象にするより、まず自社のリソースが対応しやすい地域・自治体規模に絞ってターゲットを定めると、チェックすべき情報源が整理しやすくなります
  • 案件名のキーワードを複数用意する:「DX」「デジタル」「ICT」「情報化」「システム」「研修」「セキュリティ」など、発注機関ごとに表記が異なる場合があるため、複数のキーワードで検索する習慣をつけることで見落としが減ります
  • 自治体の計画書・予算書を事前に確認する:多くの自治体は年度の当初または前年度末に「情報化計画」や「DX推進計画」を公表しています。こうした計画書を読むことで、今後の発注が予想される分野や規模を事前につかみやすくなります
  • 民間の情報収集サービスを活用する:複数の自治体の案件をまとめて確認できる民間サービスを使うことで、個別巡回の手間を減らせる場合があります

まとめ#

自治体DXに関連する公共調達は、対象分野が広く、発注形態も多様です。大手SIerが対応する大規模システム案件から、中小・専門企業が参入しやすい研修・診断・支援系の案件まで、規模・難易度はさまざまです。

参入の出発点として、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう:

  • 自社の強みが活かせる分野を絞り込み、実績と提案力を集中させる
  • 入札参加資格の登録と格付け要件の確認を早めに行う
  • 対象自治体の計画書・予算書を参照し、先を読んだ情報収集を行う
  • 類似実績の整理を日頃から進め、提案書作成をスムーズにする
  • パートナー企業との連携で対応範囲を広げる

まずは自社の得意領域から一件の公告に挑戦してみることが、自治体DX調達への最初の一歩です。案件の動向を継続的に把握したい方は、入札カレンダー もあわせてご活用ください。