公共工事の瑕疵担保責任(契約不適合責任):発注者からの請求対応と補修工事の実務
公共工事の完成・引渡し後、一定期間内に施工に問題が発覚した場合、受注者は発注者から「瑕疵担保責任(現在の民法上の概念では契約不適合責任)」に基づく補修・損害賠償の請求を受ける可能性があります。工事が無事に完成検査を通過した後も続くこの責任を正しく理解し、請求を受けた際に適切な対応をとることは、受注者にとって重要な実務です。
瑕疵担保責任(契約不適合責任)とは#
民法の改正(令和2年4月施行)により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」という概念に整理されましたが、公共工事の契約書(公共工事標準請負契約約款等)においては「瑕疵担保」の用語が引き続き使われる場合も多いとされています。
公共工事において、工事目的物に「設計図書等に適合しない部分(瑕疵・契約不適合)」が工事完成後に見つかった場合、受注者は発注者から補修の請求や損害賠償の請求を受ける可能性があります。責任期間は工事の種別・発注機関によって異なりますが、一般に土木工事や建築工事で数年程度の期間が設定されることが多いとされています。具体的な期間は契約書の約款や特記仕様書に定められているため、契約締結時に確認しておくことが重要です。
発注者からの請求への対応の流れ#
発注者から瑕疵・契約不適合の指摘を受けた場合の対応は、概ね以下のような流れとなります。
① 指摘内容の正確な把握:発生箇所・症状・発生時期を具体的に確認し、施工記録・竣工図・工事写真と照合して原因を調査します。発生した問題が「施工上の問題」なのか、「設計・支給材料・経年劣化・第三者の行為」によるものかを技術的に確認することが最初のステップです。
② 責任範囲の整理と協議:原因の調査結果をもとに、発注者と責任範囲・対応方針(補修方法・時期・費用負担)について協議します。口頭だけでなく書面(報告書・協議記録・メール等)で経緯を記録しておくことが、後のトラブル防止に有効です。
③ 速やかな対応の表明:請求を受けた際は、まず「確認のうえ対応します」という姿勢を示すことが重要です。長期間の無視・放置は発注機関との信頼関係を大きく損なうだけでなく、法的な問題に発展するリスクもあります。
補修工事の実務ポイント#
補修工事を実施する際は、補修の範囲・工法・完了時期を発注者と合意したうえで着手することが基本です。合意内容は書面で確認しておくことが推奨されます。
補修完了後は発注者の確認を受け、確認記録(確認書・写真等)を残しておくことが重要です。補修後に同様の問題が再発した場合への備えとしても、記録の保管が役立ちます。
また、補修の原因・内容は社内で共有し、類似案件での施工改善につなげることが長期的な品質向上に有効です。同種の施工で同様の不具合が複数現場で起きていないかを確認し、施工方法や品質管理体制の見直しを行うことが推奨されます。
公共工事の品質管理・施工管理に関する詳細は、入札ガイドもあわせてご参照ください。
